昨日の記事で、「当社の市場シェアはどうなんだ?」という、経営者が抱く疑問自体が間違っている、という話をした。
これと全く同じように、「設問自体が正しくない」という現象が、マーケティングの世界でどんどん起きている。
乗用車の市場シェアもそうだ。今や乗用車市場は、ガソリン車、エコカー、新興国向け超低価格車(30万円前後)などをはじめ、嗜好や特性の全く異なる(従って同列にはとらえられない)市場「群」から構成されているからだ。
上で使った「エコカー」という、あるサブ市場をさす言葉にしても、一概に議論できなくなってきた。超低燃費車、ハイブリッド車、家庭での充電を前提とするプラグインハイブリッド車、電気自動車、燃料電池車、代替燃料車、などが同居する市場が、同じ市場といえるだろうか?
ちなみに日本と北米では、エコカー市場ではプリウスのひとり勝ち。なのに南米のブラジルでは、全く別のメーカー(VW)が、全く違う技術を搭載したエコカーで、シェア8割を牛耳っている事実。
「市場」または「サブ市場」(セグメントとも言う)をよほど精密に定義し、その定義の妥当性を常に疑い続けないと、とたんに意味がなくなる、「市場シェア」という「因果」な概念。