先日の記事「◆ [この製品が、いちばん売れてます] のワナ」で、ボロ勝ちしているある企業「A社」の話を題材に取り上げた。
それは実はいま起こっている現実の話で、タネを明かすと、製品はパソコン用のOSである。
つまり、もうお気づきと思うが、シェア93%のA社とはマイクロソフト、第二位のB社はアップル、そして新参のメーカー、C社とは、グーグルのことである。
検索とWeb広告の最大手グーグルは、パソコン用OSの開発に着手していることを明らかにした。そのOSが果たしてマイクロソフトのWindowsの安泰を脅かすものとなるかどうか・・・を議論するのが目的ではない。(この議論もしたいのだが、それはまた別の機会に)。
ここで議論したかったのは、経営者に求められる、「マーケティング脳」である。
一件安泰な事業を根底から脅かすものの兆候は、往々にして、市場シェアのデータからは読み取れないのだ。
なぜなら、市場自体が、別の新しい市場との競合にさらされ、淘汰されることがあるからだ。
LPレコードが、CDに。
カセットテープやMDが、iPodなどのポータブルデバイスに。
ワープロ機(って死語ですか?)が、パソコンに。
で、パソコンのOSに話を戻すと、それは果たして安泰なのか?
また、安泰かどうかというより、その市場でのトップシェアを維持することは、果たして本当に重要なのか?
大局観を持てないことを「井の中の蛙」というが、それどころか、その井戸の水が枯れつつあったら、井の中で結構、と言ってもいられないことになる。
グーグルは、「OS」という「井戸」の中に入って暴れて、そこで大きな顔をしているマイクロソフトをそこから追い出したい・・・わけではないのだ。グーグルは、井戸の中の水や魚など狙ってはいない。
はじめに私が読者に投げかけた質問は、OS市場で9割のシェアがあったら、安心ですか? というものだった。
決して安心ではない・・・どころか、そもそも、シェア云々と言っている場合ではない、のがおわかり頂けたかと思う。
シェアなんて、100%でも安心ではないのだ。というか、シェアデータは、経営者に何の安心も与えてはくれないと思った方が良いのだ。