4.快適性(乗り心地)
飛行機マニアでなくても、787の機内に一歩踏み入れた瞬間に誰でもその違いに気付くはずだ。ボーイング社は今回、乗客の機内エクスペリエンスに非常に力を入れた。その説明がこちら。
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(c) Boeing Co.
搭乗ゲートから機内に入ったときの第一印象にインパクトを持たせるべく、入り口付近のギャレーエリアを広く高く設計。また天井の照明は、無段階調光・無段階調色式LEDで、カラーセラピーの理論をも踏まえた間接照明を行う。

(c) Boeing Co.
たとえば、夜間フライトでの休息時間の照明は月夜のような感じに調整し、到着前の機内サービスの時間が近づくと、本当の夜明けのように徐々に明るさを増しながら、上は紺色、水平線付近は朝焼け色にしていく。


(c) Boeing Co.
たとえば、夜間フライトでの休息時間の照明は月夜のような感じに調整し、到着前の機内サービスの時間が近づくと、本当の夜明けのように徐々に明るさを増しながら、上は紺色、水平線付近は朝焼け色にしていく。

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そればかりでなく、キャビンの温度、湿度、気圧、さらには 「乗り心地」 といった点にまで改善の目を向けたところがすごい。ボーイング社の研究で、乗客のフライト体験を改善するために取り組むべき課題として、このような項目があがったことに端を発する。
国際線に乗って、寒すぎると感じたり、室内が乾燥しすぎと感じたりした読者は多いのではないだろうか? そしてその都度、毛布をもらったり水をもらったり、濡れたハンカチを喉にあてたりして、「我慢」を強いられる。
実は、機内が乾燥しているのには訳があったのだそうだ。
それが787では、標高1800m程度にまで与圧され、ノーマライズされた。これは、上信越高原、志賀高原レベルということになり、高度1万メートル以上で飛行する旅客機のキャビン内気圧としては、かつてない快適さだといえる。
実は、機内が乾燥しているのには訳があったのだそうだ。
機内の室温を高くし、湿度を上げると、冷たい外気と接触する飛行機のボディ内部に露が付着し、機体の寿命に悪影響を与えるのだそうだ。
であるとすると、飛行機の寿命を守るために、乗客の快適が犠牲にされていることになる。
この点にも焦点をあて、解決してみせたのが、ボーイング787だ。
機体が炭素繊維複合素材であれば、露で錆びたりしない・・。金属疲労もない。
さらに、従来のように小さなパネルをたくさん組み合わせる方式ではなく、大きな筒状の胴体を一体成形するため、接合部が圧倒的に少ない。
それらはすなわち、検査やメンテナンスにかかる時間とコストを大幅に低減する。
それらはすなわち、検査やメンテナンスにかかる時間とコストを大幅に低減する。
(c) Boeing Co.
キャビン(客室)の気圧も、改善されている。離着陸時に耳が痛くなる、あの気圧変化だ。
従来の飛行機での、通常の高度で飛行中の機内の気圧は、地上でいうと標高2700メートル程度に相当するそうだ。ちなみに富士山五合目の標高が2400m。それにより、高山病とまでは言わないが、低気圧に伴う頭痛やその他の不快感を覚える人も少なくない。
従来の飛行機での、通常の高度で飛行中の機内の気圧は、地上でいうと標高2700メートル程度に相当するそうだ。ちなみに富士山五合目の標高が2400m。それにより、高山病とまでは言わないが、低気圧に伴う頭痛やその他の不快感を覚える人も少なくない。
それが787では、標高1800m程度にまで与圧され、ノーマライズされた。これは、上信越高原、志賀高原レベルということになり、高度1万メートル以上で飛行する旅客機のキャビン内気圧としては、かつてない快適さだといえる。
さらに、好きな人はいないだろう、飛行中のあの「揺れ」に対しても、787では改善のチャレンジがなされた。
ドップラーレーダーによって、進路に観測される乱気流を回避する、などの技術は以前から実用化されているが、今回787に初めて搭載された技術は、飛行中の細かい揺れを直前に計算し、それを打ち消すようにいくつかの補助翼やフラップを細かく動かす、というものだ。

<Part3 に続く>
ドップラーレーダーによって、進路に観測される乱気流を回避する、などの技術は以前から実用化されているが、今回787に初めて搭載された技術は、飛行中の細かい揺れを直前に計算し、それを打ち消すようにいくつかの補助翼やフラップを細かく動かす、というものだ。

<Part3 に続く>