今日はこのサイト上で、最近寄せられた一つのコメントに回答してみたい。
そのコメントは、このようなものだった。
----------------
「互恵実践」の分かりやすい具体例を見つけました。「オリエンタルランド」さんかもしれません。
先日、「ディズニーリゾート」へ生まれて初めて家族へ行きました。周囲からの前評判のみならず、電話での対応などから、「ああ、確かにこれは少し他と違う」と思わせるものがありました。
決定的だったのは、トラブル処理です。暑さもあり、子供が途中で体調を崩したのです。 笑顔で付き添い対応をしていただいたスタッフさん(あちらでは「キャスト」というそうです)の笑顔と言葉でした。「来ていただける人達の笑顔と喜びが私達の喜びなんです」 嘘のない素直な想いは人の心を動かすものだと改めて認識出来ました。
目的を理解し、そのために一人一人がプロとして何が出来るのかを考え、実行する。目的が同じ人と足並みをそろえる喜びを分かちあう。
2日間の滞在でしたが、その偏差値の高さは驚きと称賛に値するものだと心から思いました。
年間来場者数約2600万人。平均単価13800円。データには少し誤差があるかも知れませんが名実共のNO1エンターテイメント企業。 東証1部サービス業カテゴリで堂々4位。 実績というものは後から付いてくるものなのでしょうね。
本当、勉強になりました。
----------------
全くその通りで、東京ディズニーランドを運営するオリエンタルランド社は、平均的な日本の会社よりも優れた企業文化を持っている。
東京ディズニーランド(TDL)は、ウォルト・ディズニー社が会社史上初めて海外に自分のテーマパークを進出させたプロジェクトだ。これの成功により、その後世界のあちこちにディズニーランドが誕生するが、米ディズニー社はTDLに1%も出資していない。またオリエンタルランドにも出資していない。これは、香港ディズニーランドやパリ・ディズニーランドには半分近く出資しているのと比べると、ディズニー社としてはユニークな戦略といえる。
それでも、オリエンタルランドは、TDLに本家ディズニーの優れた企業文化を植え付け、育てることに成功している。米国ディズニー社の精神をしっかり受け継いでいる。
オリエンタルランドのアニュアルレポートから・・。
The Art of Happiness -- 誰も想像しえなかった「夢、感動、喜び、やすらぎ」を提供することで、ゲストにハピネスを届けたい。それが創立から50年、今までも、そしてこれからも変わらない私たちの想いです。
50年後も、100年後もハピネスを届け続けるために、昨日より良い今日をつくります。
心をひとつにした2万8千人のチームワークで。
一方、米国ウォルト・ディズニー社の6つの価値観を紹介しよう。
・ イノベーション (新しいことにチャレンジ)
・ クオリティ (全ての商品・サービスに高品質を)
・ コミュニティ (みんなのための、楽しめるエンターテイメントを)
・ ストーリー (わくわくする物語を生み出していく)
・ ポジティブな姿勢 (エンターテイメントを通じて、人々に希望と喜びを)
・ 品格 (互いの信頼、楽しむ姿勢)
米フォーチュン誌は、ディズニー社を「世界で最も優れたエンターテイメント企業」に認定した。
どちらの会社も、世の中を明るくすることに関して、真剣に取り組み、成功している企業だといえる。
これからも、がんばってほしい。
TDLを訪れたら、また海外のDLを訪れる機会があったら、ぜひ、従業員と、周りの人たちの表情を観察してみてほしい。
たくさんのハピネス、たくさんの笑顔を、発見するはずだ。
仕事や所用で去年から今年にかけて数回国内の諸路線に搭乗させていただく機会があり、その時の体験を書かさせていただきます。キャビンアテンダントさんたちの経験に基づく質と気迫(プロ意識)はもちろんですが、飛行機を滑走路へと送り出す係りの地上スタッフの方々に驚きました。
空港に対して向かい合わせで止まっている飛行機を押し出す係りの方々なのですが、送り出したあといつも手を振ってくださいます。そして最後に礼をして去って行かれます。 ここまでは好きな風景なんですが、特に普通の風景です。 日本航空さんが違う、と思ったのは去る瞬間でした。 こちらからは殆んど見えない角度でしたが、互いに仲間同士でもお礼をしておられたのです。
諸要因で経営難になられ経営改善中の同社ではありますが、日本の翼として培われた各現場ノウハウや志は誇るべきものでありそこに何ら恥ずべきところを感じさせるものはなく自信をもって仕事に励んで頂きたいものだし、それが今でも実践されているのだという片鱗を感じさせる瞬間でした。
我々一般市民が企業を評価する方法はそんなに多くありません。株式の購入より現実的なのは提供される商品の購入です。 そしてただ利用するだけでなく、「喜んで利用する」そんな顧客であるだけの余裕をもちたいと思わせる出来事でした。
「おいしかったよ」とか「たのしかったよ」とかの一言だけでもいいから顧客側からも礼を尽くすべきだなあと感じました。
次回利用する際には恥ずかしがらずに窓から手を振ってみたいと思います。
pipotさんは、とても素晴らしい点に気づかれたと思います。
本ブログ全体を通して私が伝えようとしていることの一つですが、企業の経営におけるエコシステムは、企業と取引先や、企業と株主との間だけでなく、企業をとりまく全てのステークホルダーとの間に成り立つものです。さらに、相関図を描くとその中心にあることになる「企業」をからめずとも、他のステークホルダー同士でも成り立ちうるということは、もっと望ましいことであり、もっと多くの人に気づいてほしいことであります。
「ステークホルダー同士」とは、たとえばpipotさんが目の当たりにされたように、従業員同士もそれにあてはまるわけです。同じように、たとえば株主同士、債権者同士(とくに難局においては!)などでも成り立つと、とても素晴らしいことが起きます。そういった例についても近いうち書こうと思いますが、ぜひ読者の皆さんも考えてみて下さい。また、良い例をお見かけしたら教えて下さい。
話をpipotさんの体験に戻しますが、空港ゲートの地上エリアで飛行機を誘導する人たちが手を振り、お辞儀をしている相手は、見られていようがいまいが、パイロットであり、乗客であり、プラスもしかしたら安全に彼らを運んでほしい飛行機に対してでもであり、そして一緒に働く他の仲間たちに対してです。
また、JALの話でいえば、破たんが報道されてまもなくの頃ですが、機内アナウンスのなかで、ふだんの内容に加えて、「このたびは当社の経営破たんにより皆様に多大なる不安とご迷惑をお掛けし、申し訳ございません。」といった意味のアナウンスを、キャビンアテンダントたちが自発的にするようになった、という話を聞いたことがあります。
このような気持ちや行動は、職務規程に明記すれば実行されるものではなく、目標管理制度で徹底すれば出てくるものでもなく、従業員と組織の間で育まれる文化のなかから生まれてくるものです。
では、そいうった文化は、優れた経営者がいれば、生まれるものでしょうか?
あるいは、優れた会社であれば生まれるものでしょうか?
・・そうとは限りませんよね。
だってJALは、破たんした会社ですもんね。
優れた文化は、ダメダメな会社からも生まれることがあります。
その表現が誤解を招くなら、どんなダメな会社でも、お客様や仲間などを大切にしたいと思う、それが最大の働きがいであり報酬である、と思うような人たちがたくさん働いているものです。そういう人たちから、自然発生的に生まれる、がんばる気持ち、お客様の笑顔を見たいという気持ちは、ときに大きなパワーを発揮します。
にも関わらず、もし会社が立ちゆかないなら、それは経営者の責任です。
さらに言うなら、そんな経営者をいつまでも置いておくなら、今度はそれは株主の責任です。
# # #
今年もよろしくお願いいたします。
ついぞHPにお邪魔していませんでした。本件にコメントを頂いていたのを発見してうれしく思い、ご連絡差し上げます。
経営者の責任、株主の責任...そして社員の責任。
ワタシは最近ある出来事によって「責任」という言葉が大好きになりました。
先日、NZへ訪れたときのことです。 彼の国も地震災害で大きな被害を受け、未だに復興ままならない状態でした。ですが、行きがけの飛行機、宿泊先、レストラン、友人etc.ほぼ全ての方から今回の大震災についてのねぎらいや励ましの言葉を頂きました。
そんな中、とあるレストランで私にワインをついで下さる方と少しお話する機会がありました。 私はとある新聞紙面でクライストチャーチでのビル崩壊の際、たくさんの方が下敷きになっているのに日本人を優先して捜索して下さった事、しかもそれが地域住民や関係する皆さんの協議の上でなされて反対意見が全くでなかったことに深く敬意を感じていました。
「私は親族でも関係者でもありませんが一日本人として本当に感謝しています。ありがとう」とその方にお伝えすると、彼女は「That's our responsibility!」とお答え頂けたのです。
目からウロコが落ちました。 よく話しを伺えば、その方のお兄さんもその現場でお亡くなりになっていたとのことでした。
レスポンス できること。 人として。
当たり前のことを当たり前に。
他人から与えられるものでも、押し付けられるものでもない、自分自身で選択できる能力。
それが彼女のいうところの「責任」なのかもしれません。 求められることを掌握し、対応する能力。 色んなルールとロールのなかで様々な役割を果たし、ソコに生まれる喜びを分かち合う。とってもシンプルなのに奥が深い。
「強制」と「共生」を分ける細い糸が少し垣間見えたような気がしました。
ビジネスマンがいくと本当に勉強になる場所ですね。