よくある部下の不満。
「会社の方向性が見えないんです。」
このような不満を唱えられたとき、上司がそれを自分の辞書にある言葉で理解しようとすると、誤解や混乱をまねくことがよくある。
社員が「会社の方向性が見えない」といった表現をするときは、それはしばしば、次のような意味であることが多い。
・会社が自分に何を求めているのかが、わからない。
・上司が自分に何を求めているのかが、わからない。
なので、その疑問に正しく答えてあげる必要がある。
上司(ないし経営者)はしばしば、当たり前と思われることを説明・確認しないことが多い。
たとえば、「会社はキミを皿洗いとして雇ったのだから、求めているのは、早く、きれいに、割らずに食器を洗うことに決まってるだろ。」と考える。
だがそれは、暗黙に理解されているもの、と思ってはいけないのだ。
業務の内容、手順、問題発生時の対応方法と相談方法、期待される成果、評価のポイント、責任や権限の範囲など、全て、わかるまで、明確に伝えないといけない。
しかも、以前伝えたことでも、定期的に繰り返し伝えないといけない。
さらに、それらの期待や評価ポイントに照らして、その人のパフォーマンスが現在どの程度期待に応えているのかについて、フィードバックを、明確に伝えないといけない。
そこまでしても、なかなか埋まらないギャップもある。
もちろん、それさえしなかったら、なおさらギャップは埋まらない。
「私はこんなにがんばっているのに、会社は認めてくれない」という、よくある悲劇につながってしまう。
「男と女の、永遠にわかり合えないギャップ」と同様に、
「上司と部下の、永遠にわかり合えないギャップ」があり、
「経営者と社員の、永遠にわかり合えないギャップ」がそこにある。
その現実に対峙し、「相手の立場にたって・・・。」と、双方に、言いたい。
それが、今度別項で説明する「利他の心」であり、「エンパシー理論」である。
それは、「エコシステム」にも通じるものだ。
自然界のエコシステムには、、相手のことを思いやる心は介在しないが、筆者の唱える、人間のための、人間の活動のエコシステムは、その心が重要な役割を果たす。

