2010年11月28日

◆ マイクロソフト・イノベーションデイで講演

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12月2日に開催される「Microsoft Innovation Day 2010」にて、エコシステム経営について講演いたします。

この機会にぜひご参加ください。


主催:マイクロソフト株式会社

日時:2010年12月2日(木) 13:00-19:40(講演は16:40〜)

会場: ベルサール九段(東京都千代田区)

参加費:無料(事前登録要)

◆ 「エコシステム経営」による、ベンチャー成功のチェックポイント(吉田 宣也 日本MITエンタープライズフォーラム 副理事長)

企業の成功は、その存在価値を長期にわたって世の中に提供する役割を果たせることにあります。それは「エコシステム経営」の考え方で実現できることを、IT 業界を中心に、大成功例/大失敗例をご紹介しながら、これからの経営者にヒントをご提供します。

イベント詳細・事前登録はこちら

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(昨年の写真から)

posted by Nobby at 01:36 | Comment(1) | TrackBack(0) | 経営

2010年11月16日

◆社内公用語は英語にすべきか?(4)


< Part 3 から続く >


次に、いまあげた4つのファクターよりももっと重要なファクターをあげる。

それは、「顧客が使う言語は何なのか?」という問題だ。

社内公用語の議論と検討において、この問いを忘れてはいけない。

英語に統一するのがベスト、と単純に結論付けるなら、全ての米系企業は世界中で・・・IBM本社内も、日本IBM社内も、日本HPでも、プロクター・アンド・ギャンブル・ジャパンの社内でも、当然英語で統一すべきだ、となる。

いま上にあげた外資企業の日本法人たちは、富士通や花王などの国内ライバルに顔負けの実績を日本であげているが、社内では英語も日本語も自在に飛び交っている。部署によっては圧倒的に日本語だし、英語を聞かない日だってある。

それは、英語以外の言語がメインであるその国をターゲット市場と定め、そこに市場機会を求めるのであれば、必要なことなのである。

つまり、顧客すなわち市場で使われている言語に精通し、彼らに最も効果的に「刺さる」その言語でもって収益を稼ぎ出すことは、あれこれ悩むまでもなく当然のことであり、悩んではいけないことである。

ついでに言えば、顧客だけでなく、そのコミュニティ(例えば、現地のことばでCSRやらないでどうする?)、取引先、外注先、協力会社、競合他社(潜在的な採用ソースでもあるわけだし)、メディア、などが主に使う言語を使いこなさないでどうする? ということだ。

ここまで書き記すと、結局のところこの問題も、エコシステム経営の基本にたどり着くことがわかる。全てのステークホルダーをつなぐ媒体として機能する、「信頼」にしても、「コミュニケーション」にしても、「契約」にしても、言葉を介して健全に成り立つからだ。

従って、多くの場合、最適解は、社内共通語はあった方が良いが、「現地語」も引き続き重要であり、日本で活動をして雇用をしている企業の場合は、現地語である日本語が重要であるので奨励し、かつそれに加えて世界的に重要である英語をも、公用語として奨励する、ということになるのではないか。


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さて、楽天の取締役会の場合、ほとんどが日本人であるだけに、英語に統一する必要性が見えにくく、メリットよりもデメリットのほうが大きいように見えるため、これに反対する社員
(表明するかどうかはともかく)や、うまくいかないと予想する内外の人々が多い。

社内公用語は、日本語がいいのか、英語がいいのか?

もちろん一概には言えないだろう。

では、楽天にとってはどちらが良い結果をもたらすか?

筆者の予想は、導入1年間は混乱やデメリットのほうが上回り、2年目からは、メリットが上回るのではないかとみるものである。

< 記事終わり >

posted by Nobby at 01:33 | Comment(3) | TrackBack(0) | 経営

◆社内公用語は英語にすべきか?(3)


< Part 2 から続く >


同様の理由で、親会社がフランスの場合は、海外各国の現地法人で使う標準言語をフランス語にすべきか、といえば、そうとは限らない。英語が最適解である、となるケースも多いはずだ。


筆者の見方は、要約すると次のようだ。


(ファクター1) 英語だろうが日本語だろうが、社員が社内で使いこなす言語が統一できれば、社内コミュニケーションの効率は上がる。(実際に、20世紀に繁栄を謳歌した国産グローバル企業では、海外で現地採用した社員に日本語の勉強を奨励していた例が多い。)

(ファクター2) それに加え、もしそれが英語で統一できたら、かつもし社員の英語力が充分であれば、「Information Out」つまり対外的に情報を発信するPR活動(営業、マーケティング、IRCSRなどを含む)の効率と効果が日本語で統一した場合よりもはるかに高まる。さらに、「Information In」情報収集の効率や効果も高まる。

(ファクター3) 社内言語は統一しないほうが、さまざまな文化圏で、さまざまな才能を持った人材を起用できる。今日よく言われる多様性の点からも望ましい。

(ファクター4) 社内言語は統一しないほうが、さまざまな言語の地域から、それぞれの言語での情報が収集でき、それぞれの言語での例えば研究開発能力が活用できる。


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< Part 4 に続く >

posted by Nobby at 01:24 | Comment(0) | TrackBack(0) | 経営

◆社内公用語は英語にすべきか?(2)

< Part 1 から続く >

じっくり考えると、答えは
Yes or No
のどちらかにはならないかも、ということに思い至る人が多いだろう。

私見を述べると、どっちかに統一してしまわないことが、両方のメリットを最大化してデメリットを最小化する解であるように思える。


要は、当面の間、役員会や幹部会は、基本的に日本語を中心に行い、たまには英語でやればよい。一回の会議のなかで、日本語で進行させる議題と、英語でのそれが混在しても良いと思う。

英語で行う頻度や割合は、会議の性質や目的や構成メンバーや部門によって違って構わない。今後ソニーや
NTTドコモやトヨタのようにニューヨーク上場も果たして資金調達をするなら、財務部門やIR部門は英語の議題が増えるべきだろうし、そうでないならさほどでなくても良い。データセンターを海外に置いて効率化やコストダウンを計ると決めたら、それを推進するメンバーたちの議論には、当然英語が導入されていくだろう。そうでないならさほどでなくても良い。


つまるところ、日本語、英語、どちらかだけに限定しない方が良いと思う。必要なら発言内容が二カ国語ちゃんぽんでも、それがそのときの議事進行にとって最適であるケースもありうると思う。参加者にとっての情報交換や意見調整がより正しく効率的・効果的に行われればそれで良く、さらにはそのスタイルでの運用によって、日本人社員に英語に慣れてもらうための練習期間としても機能することも期待できる。ちなみにこれは、海外進出した日本企業の現地事務所では普通に行われている。なお注意点として、日本語のできない出席者がいる場合は、日本語を使わないことをルールとする、すなわち英語で行うのが、マナーであり、現実解であり、かつ最適解であると思う。

さらに言うと、ここで議論すべきは、「日本語か英語か」だけではなく、企業によっては英語以外の外国語を検討する必要もある。当たり前のところとして、ロクシタンの日本法人ではフランス語が、必須とまでは言わなくても、とても重宝するだろうし、浄水プラントメーカーが今後最重要の成長市場として中国を狙いたいなら、中国営業部の会議をたまには中国語にするのも良いことのはずだ。


要は、「日本の会社なんだから、方針も言語も日本式で」という考え方が、グローバス時代に取り残される方程式だということになる。


< Part 3 に続く >

posted by Nobby at 01:22 | Comment(0) | TrackBack(0) | 経営

2010年11月01日

◆社内公用語は英語にすべきか?(1)


楽天が、取締役会を日本語でなく英語で行う、という決定が話題になった。

楽天の社内でそれがどう受け止められているかは知らないが、想像するに、少なからぬ戸惑いがあるが、「三木谷決定」なのだから、真っ向から反対するのは難しい空気があると推察される。一方、巷では、賛否両論があるようだ。

賛成派の主張としては、概ねこの決定の理由と共通するものだろう。海外企業の買収を行ったことでもあり、国内市場からの売上げに頼っていることはできない。そんな国内も、海外勢の競争にさらされるようになってきている。開発においても、海外の優れたエンジニアを活用する方が有利である。企業の意思決定に必要な情報も、英語でのアンテナを張った方が質、量、スピード、多様性、どの尺度をとっても日本語を凌駕する。

一方、反対派の主張は、効率が悪い、役員や社員への負担、不自然な根回しの発生、
PRIRのやりにくさ、といったところか。

メリット、デメリット、両方ある、このような状況では、どうしたら良いか?

読み進める前に、

「そもそも、社内の言語は、何かひとつに統一した方が良いのか?」
という問題について考えてみてほしい。


< Part 2 に続く >

posted by Nobby at 01:18 | Comment(0) | TrackBack(0) | 経営