2010年09月12日

◆ルース駐日米国大使とSBI北尾吉孝氏を迎えて

 

筆者が副理事長を務めるMITエンタープライズフォーラムで、恒例のビジネスプラン・コンテスト&クリニック(BPCC)を開催した。

今年は第10回目にあたる節目。フォーラムの活動を内外にアピールする機会としたかった。

幸い、会場を六本木ヒルズにグレードアップし、ルース大使と、北尾さんという、名声の高いゲストを招聘することに成功し、それでも参加費無料を維持することに成功した。協力して頂いた各団体やボランティアの皆様のおかげによるところが大きく、感謝に堪えない。

お越し頂いたゲストのお二人とも、1、2ヶ月前時点での直球の打診に対して、即座にご快諾頂き、心強い思いをした。

 
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ルース大使のお話では、起業家を育てることこそ、経済を発展させる最良のアプローチという我々フォーラムの考えに賛同頂いた。

また、ここ2、30年の期間で、雇用を純増させた会社は、創業5年未満の会社であったというアメリカのデータを大使は示した。

さらに大使は日本の就職事情にも触れ、大学新卒の6割しか就職できない現状と、ベンチャーによる雇用創出を政策当局にとって重要なポイントと指摘した。


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ルース大使は、シリコンバレー最強の弁護士事務所「Wilson Sonsini Goodrich & Rosati」のトップを務め、アップル、グーグル、ジェネンテックなどの錚々たるベンチャーの成功を助けた立役者でもある。この意味でこの時期にオバマ大統領が駐日米国大使にルース氏を抜擢したことは、とても意義深い。(話がそれるが在中国日本大使に伊藤忠出身の丹羽宇一郎氏が抜擢されたことも重要視したい。民間出身の中国大使は、国交回復以来初めて。) どちらも、二国間のビジネス面での関係発展に大いに期待したい。

ルース氏は続ける

「シリコンバレーでの経験から、新しい起業がいかに多くの雇用、富、そして社会資本を生み出してきたかを、目の当たりにしてきました。だからこそ、将来の日本の生産性と雇用を促進する意味において、本コンテストのファイナリストに高い期待をもっています。」

In my professional life in and around Silicon Valley, I have seen first-hand how new entrepreneurial firms have tremendous capacity to create employment, wealth, and expand social capital. That’s why I have high hopes for the prospects of this year’s Business Plan Contest finalists -- they represent the future of productivity and employment growth for Japan.

「なので、MITエンタープライズ・フォーラムが、日本、米国や他の24の国々において、ビジネス環境とエコシステムの発展のためにリーダーシップを発揮している事を認識し、とても嬉しく思います。」

So I am pleased today to recognize the leadership of the MIT Enterprise Forum in improving the climate and ecosystem for entrepreneurship in Japan and in the two dozen other countries and U.S. states where it operates.


大使が、我々フォーラムの努力を讃えるにあたって、筆者が日頃標榜する「エコシステム」という言葉を使ってくれたことが、とても意を得た感がして嬉しかった。
 


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次に登壇頂いたのが、SBIグループCEO、北尾氏。


筆者と北尾さんとの縁は、トレンドマイクロ取締役会を一緒に切り盛りした頃から続き、私はその後10年間にわたり、北尾さんの会社(ソフトバンク・インベストメント)の投資委員会で1000社以上のベンチャーの投資判断を手伝ってきた。私にとって北尾さんは、この人に頼み事をされたら何があっても馳せ参じるだろう、「人生の上司」だ。



北尾さんの講話は、ビジネスコンテストという場で、戸惑う人もいたのではと思えるほど、厳しいデータを突きつけることから始まった。

 
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あまりに低い、企業の生存率。この厳しい現実を、まだスタートもしていない、あるいはスタートしたばかりのベンチャーたちに認識させる。それは、彼らに、起業するなら永続するような会社になりなさい、というメッセージなのだ。
 

では、どうしたら、そういう企業になれるのか。


大切なのは、正しい倫理的価値観と、高い志と見識にのっとった実行力だという。


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評論家ではなく、実際にそれを行っている人からの言葉だから、説得力がある。


   >>お二人のお話についての詳細はこちら
 
 
 約300人の参加者。


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お二人の壇上でのお話しのあとに、せっかくの機会なので、面識のなかったこのお二人を引き合わせ、会談の場を用意させて頂くことにした。会話の内容は掲載を差し控えるが、懐かしい共通の話題や、日米経済や通商のために何ができるか、について議論が弾んで、良い機会になったと思う。大使と北尾さんを送る一緒のエレベータで、ぜひまた集まりましょう、となった。 大使補佐官や大使館スタッフの方たち(写真後方)ともいろいろなお話ができ、大変お世話になった。


それにしても、数年ぶりにお会いした北尾さんは、全く歳をとっていなかった。


 
posted by Nobby at 02:34 | Comment(0) | TrackBack(0) | ベンチャービジネス

2010年09月11日

◆ディズニーランドにみる、経営のお手本

今日はこのサイト上で、最近寄せられた一つのコメントに回答してみたい。

そのコメントは、このようなものだった。

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「互恵実践」の分かりやすい具体例を見つけました。「オリエンタルランド」さんかもしれません。

先日、「ディズニーリゾート」へ生まれて初めて家族へ行きました。周囲からの前評判のみならず、電話での対応などから、「ああ、確かにこれは少し他と違う」と思わせるものがありました。

決定的だったのは、トラブル処理です。暑さもあり、子供が途中で体調を崩したのです。 笑顔で付き添い対応をしていただいたスタッフさん(あちらでは「キャスト」というそうです)の笑顔と言葉でした。「来ていただける人達の笑顔と喜びが私達の喜びなんです」 嘘のない素直な想いは人の心を動かすものだと改めて認識出来ました。

目的を理解し、そのために一人一人がプロとして何が出来るのかを考え、実行する。目的が同じ人と足並みをそろえる喜びを分かちあう。

2日間の滞在でしたが、その偏差値の高さは驚きと称賛に値するものだと心から思いました。

年間来場者数約2600万人。平均単価13800円。データには少し誤差があるかも知れませんが名実共のNO1エンターテイメント企業。 東証1部サービス業カテゴリで堂々4位。 実績というものは後から付いてくるものなのでしょうね。

本当、勉強になりました。

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全くその通りで、東京ディズニーランドを運営するオリエンタルランド社は、平均的な日本の会社よりも優れた企業文化を持っている。

東京ディズニーランド(TDL)は、ウォルト・ディズニー社が会社史上初めて海外に自分のテーマパークを進出させたプロジェクトだ。これの成功により、その後世界のあちこちにディズニーランドが誕生するが、米ディズニー社はTDLに1%も出資していない。またオリエンタルランドにも出資していない。これは、香港ディズニーランドやパリ・ディズニーランドには半分近く出資しているのと比べると、ディズニー社としてはユニークな戦略といえる。

それでも、オリエンタルランドは、TDLに本家ディズニーの優れた企業文化を植え付け、育てることに成功している。米国ディズニー社の精神をしっかり受け継いでいる。


オリエンタルランドのアニュアルレポートから・・。

The Art of Happiness -- 誰も想像しえなかった「夢、感動、喜び、やすらぎ」を提供することで、ゲストにハピネスを届けたい。それが創立から50年、今までも、そしてこれからも変わらない私たちの想いです。

50年後も、100年後もハピネスを届け続けるために、昨日より良い今日をつくります。

心をひとつにした2万8千人のチームワークで。
 

オリエンタルランドのアニュアルレポートから。


一方、米国ウォルト・ディズニー社の6つの価値観を紹介しよう。

 ・ イノベーション (新しいことにチャレンジ)
 ・ クオリティ (全ての商品・サービスに高品質を)
 ・ コミュニティ (みんなのための、楽しめるエンターテイメントを)
 ・ ストーリー (わくわくする物語を生み出していく)
 ・ ポジティブな姿勢 (エンターテイメントを通じて、人々に希望と喜びを)
 ・ 品格 (互いの信頼、楽しむ姿勢)



米フォーチュン誌は、ディズニー社を「世界で最も優れたエンターテイメント企業」に認定した。

どちらの会社も、世の中を明るくすることに関して、真剣に取り組み、成功している企業だといえる。

これからも、がんばってほしい。


TDLを訪れたら、また海外のDLを訪れる機会があったら、ぜひ、従業員と、周りの人たちの表情を観察してみてほしい。

たくさんのハピネス、たくさんの笑顔を、発見するはずだ。


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posted by Nobby at 02:50 | Comment(4) | TrackBack(0) | 経営