自社のいちばんの主力商品が、必要なくなるとしたら、
あなたが社長だったら、どうするか?
それは実際に起こることだ。
例をあげよう。
デジカメになったら、フイルムは、いらなくなる。
写真用フイルムが、事業の「大黒柱」だったら、その事業からの収益で、たくさんの社員が食べているとしたら、どうすればいいのか?
次の選択肢から、選んでみてほしい。
(1) 仕方がない。それは時代の流れだ。その事業は大幅縮小をして、従業員もリストラをしよう。
(2) いや、縮小する市場だからこそ、「しんがり」においしい商売が残っている。競合他社は続々撤退するだろうから、最後の1社になるまで生き残って、しばらくの間、独占的地位で儲けよう。
(3)コンシューマ用写真フイルムがすたれても、医療向け、産業向けフイルムなどの特殊用途は残るはず。そこにリソースを集中し、さらなる技術革新につとめ、収益率の改善をはかるべき。
(4)いや、そもそも「フイルム」とは何か? レンズを通って焦点を結んだ「光」を画像に描くキャンバスだ。そう考えると、「デジカメ」にとっての「フイルム」は「受光素子」に他ならないはずだ。従って、CCDなどの開発にシフトするべきだ。
(5)デジカメになっても、人はプリントした写真は欲しいはずだ。すると「DPE」のニーズは残る、と判断できる。それに関連する機器や消耗品に資源を投入すべき。
(6)いや、フイルムというものを不要にした張本人はデジカメだ。フイルムの衰退と反比例して、デジカメの市場は伸びる。だから、たとえ不慣れであっても、デジカメ本体そのものに参入するべきだ。
(7)いや、ここは、「写真」というものにこだわらず、長年培ったフイルム関連技術を活かす用途が見て取れれば、経験のない業界であっても積極的に参入すべきではないか?
たとえば、食品や、医薬品、化粧品などが考えられないか?
考え得る戦略の選択肢をこのように並べてみると、もうお分かりと思うが、ご存じ実在する一流企業がまさに経験しているチャレンジなのである。
そう、「富士フイルム株式会社」である。
さて、あなたがこの会社の社長だったら、どのような選択をするだろうか?
このブログの (Part II) に、実際に同社がとった行動を記したので、それを読む前に、あなたなりの答えを考えてみてほしい。